ブランドの定義とモデル化
ブランドについて
ブランドというものは、誰もが認識しているにも関わらず、いざ説明しようと思ってもなかなかうまく説明ができない不思議なものです。
この事実に対して、パリのビジネススクールHECの教授であるカプフェレ氏は、実に的確な説明をしています。
「ブランド」というものは、一見簡単そうに見えて、実はとらえがたい概念である。誰もが典型的なブランドというものをすぐに思い浮かべることができるが、満足のいく定義付けができる人は非常に少ない。(中略)ブランドは、部分と全体の両方である。それは製品やサービスのマークであると同時に、有形・無形の満足を約束する包括的な価値でもある。
ブランドという概念は複雑であり、ブランドについて軽々しく一言で語ることはできない。
出典:ブランドマーケティングの再創造
ここで指摘されているとおり、ブランドとは有形・無形の価値の複合体であるため、一言で表現したり説明したりすることが難しいのです。
ブランドにはコーポレート・ブランド、製品・ブランド、パーソナル・ブランドといった様々なカテゴリーが存在しますが、そのどれもが有形・無形の価値の複合体なのです。そう考えると、こういったカテゴリーには左右されない定義付けができると私たちは考えました。
「様々な価値の複合体」を表現する言葉はいくつか存在しますが(例えば総合芸術とか愛とか)私たちは、ブランドを「(固有の)世界観(World view)」という定義をしています。
しかしながら、私たちは定義をすること自体が重要だとは思っていません。
重要なのは、定義の先にあるモデルやツールなのです。定義自体が存在しなければ、モデル化することもPDCAを回す際に有効的なツールを考えることはできません。
私たちにとって大事な仕事はブランドの構築や再構築であり、そのためのモデル化やツールを開発するうえで、ブランドの定義は必要なのです。
ブランドのモデル化について
ブランドを固有の世界観であると定義したうえで構成要素をモデル化すると、
-Vision
-Work
-Image
と考えられます。このモデルを、これらの頭文字をとって VWI™ モデルとします。

Visionについて
トップやリーダーが組織を方向づけるために掲示する概念。ミッションやプロミスなど呼び方は様々ですが、どのようなブランド・エクイティをつくりたいのかを明示しているものです。
Workについて
Visionには形がないので、具象化、体現化をする必要があります。 Work とは、ヴィジョンを具現化したものを指しています。
Work のコンセプトとしては、マーケティングや人財マネジメントシステム、ブランド・バリュー、クリエイティブ、コミュニケーション が特に重要になります。
Imageについて
Work によって生み出された活動を通じて、ステークホルダーの中で抱かれたイメージや感情です。ブランドへのロイヤルティ、ブランドの認知、品質への知覚、ブランドからどのような連想をしているか、といった観点に留意します。
これら 3 つの要素はバラバラに考えるのではなく、三位一体であることが、ブランド構築では重要なのです。
そして、ブランド・マネージメントとは、これら3つの要素がそれぞれマッチしているのか、それともギャップがあるのかを把握し、管理することだと考えています。
私たちは、すでに確立されている体系的なメソッドやコンセプト(ブランド・エクイティなど)はもちろん、VWI™モデルを基にしたブランドの診断ツールや構造化(ブランド・マップ)を開発し、ブランド構築を行っています。
参考文献について
VWI™モデルを考案するうえで、中沢新一著「三位一体モデル」から特に大きなインスピレーションを得ました。本書は、著者が提唱する思考モデルである「三位一体」を解説したもので、さまざまな現象を当てはめて考えることができます。ご興味のある方はご一読ください。





